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肘部管症候群

 肘部管症候群

まずは総論。
症状

麻痺の進行により症状が異なります。
初期は小指と環指の一部にしびれた感じがでます。

麻痺が進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と環指の変形がおきてきます。
肘部管症候群とは、肘で尺骨神経に圧迫や牽引などが加わって、生じる神経の障害をいいます。
原因と病態

肘の内側で神経(尺骨神経)が慢性的に圧迫されたり牽引されることで発症します。
以下のような原因があります。

1.神経を固定している靱帯やガングリオンなどの腫瘤による圧迫
2.加齢に伴う肘の変形
3.子供のときの骨折による肘の変形
4.野球や柔道などのスポーツ
5.その他

診断

肘の内側を軽くたたくと小指と環指の一部にしびれ感がはしります。
肘の変形がある場合には、レントゲン検査で肘の外反変形や関節の隙間の狭いことがわかります。
詳しく検査をする場合はMRI検査をします。

 
予防と治療

治療・肘の安静などの保存療法をまずは行います。
これらの治療が無効の場合や麻痺が進行しているときには、尺骨神経を圧迫している靱帯の切離やガングリオンの切除を行います。

神経の緊張が強い場合には、骨をけずったり、神経を前方に移動する手術を行います。


肘の変形がある場合には(外反変形など)、変形を手術的になおす場合もあります。

今回の患者さんは・・・

高校2年生

野球部

中学生の時から肘に痛みとしびれを感じていた。
いくつかの整形外科を受診するも「野球肘」と診断され、投薬、物療、安静の指導をうける。

高校に進学し痛みが増し、高校1年生の春、再度整形外科を受診。

「肘部管症候群」と診断。

尺骨神経の前方移行手術を高校1年生の夏休みにうける。

 

手術後、安静、リハビリを続け、高校1年生冬に野球復帰。

復帰後、まもなく「肘の疼痛」が復活・・・

当院受診。
さて、とても難しい症例です。

尺骨神経の移行手術をしていること。
整形外科的には完治のはずが・・・

疼痛再現・・・

手術は成功して日常生活には支障がなくとも、スポーツをするとなるとなかなか厳しい状況。

高校2年生秋ということはあと10カ月程度はどうしても野球がしたいとの状況。

高校を卒業しての本格的野球続行は難しい。

でも、なんとか10カ月は野球を続けたい・・・

痛みの完全消去ということは難しいにしても、痛みの軽減をして彼自身の痛みがある中での
最大のパフォーマンスを出してあげられる方法を模索。

肘の炎症を押さえる物療、鍼治療を施行。

もちろん肘だけの治療ではなく、身体のバランスを整えること。

中学生の時から痛みがあるということは、投球動作にも問題があると考えられる。

肘と股関節の関係性。

投球動作には股関節の正確な連動性が必要だ。

股関節トレーニング&ストレッチをしてもらい、肘はもちろん股関節の滑らかさを出す治療を施行。
あと10カ月。だましだましにはなるのかもしれないけど・・・

夏の選手権予選には出させてあげたい・・・
そのときどきの症状にあわせ、局部治療はもとより全身治療、そして、トレーニング&ストレッチでなんとか・・・

今回の症例は痛みが出て、すぐに病院を受診しているが、起こった症例。

当院に中学生の初期の段階で受診をしていれば、どうなったか?

もちろん手術回避ができたとは申しません。なかなか難しい症例であります。

「野球肘」あなどるなかれ・・・

「野球肘」→→→「手術」ということは、今でも珍しいことではありません。

指導者の皆様は「子供の訴え」症状には敏感になり、根性論だけでは済まないことがあるとご理解をしていただきたい。

 

すべての痛みを消し去りたいと考えてしている仕事ではありますが、症状、症例により難解なこと多々・・・

局所だけを診るのではなく、全体をくまなく診て対処しなければならないと痛感し、また、できるだけ患者さんの意向に添えるよう、自分のスキルも上げていなくなてはいけないと、痛感。

日々精進。。。

あと10カ月。高校球児の夢に少しでも助力したい・・・

 

 

以下、「宮迫接骨院オフィシャルホームページ」もよろしくお願いいたします。
 
http://www.miyasako.net/