64.上腕骨骨端線離開(リトルリーガーズショルダー)
骨端線損傷はリトルリーガーズショルダーとも呼ばれ、繰り返しの投球によって骨端線が損傷したものです。
骨端線は縦方向に引っ張る力に耐える力を持っていますが、回旋の動きなどによってズラされるような力、捻じる力に対しては抵抗力が低いという特徴があります。
10~15歳頃は成長軟骨(骨端線)が弱いため、その周辺の年齢にて起こりやすくなっています。
投球動作中、全力投球時にはリリースの際に自分の体重ほどの力が肩にかかることになります。
この骨端線に過度の負担がかかる投球フォーム、また身体の連動がうまくいかない場合、上腕骨骨端線損傷を引き起こす危険性が高くなります。
単純に身体が柔らかいからよいというわけではないですが、リトルリーガーズショルダーを抱える多くの子供たちの身体は硬いです。
写真の選手は、中学3年生。
昨秋頃より、投球時、投球後に右肩の痛みあり。
痛みながらも投球は続ける。
3月に試合投球後、疼痛増悪。
当院受診。
問診、触診、そして徒手検査にて、リトルリーガーズショルダーの疑いあり。
初診時の開脚・・・なんと68°
運動をしてはいけないレベルです。
整形外科にて対診を行う。
リトルリーガーズショルダーとの診断。
骨端線離開損傷の度合いにより投球禁止期間は違いがありますが、この選手の場合、4~5週間の完全投球禁止。
上腕骨に捻りのある動きは厳禁となります。
病院によっては打撃はよし!というケースもあるようですが、当院では完全に禁止させます。
さて、この診断をうけて、選手はショックをうけます。
また焦りを生みます。
ただ、ここで大切なのは・・・
今後、この選手がどうしたいか!?です。
目先の試合、目先の大会におもきをおき、その後のことを考えないのであれば、好きにすればよいでしょう。
ただ・・・
中学3年生も大事だけど、高校でも野球がしたい!というのであれば・・・
この「ノースロー期間」を今後の糧にすることができます!
残念がっている場合ではありません。
この4~5週間、何をして過ごすか!?
開脚の写真をみればわかると思います。
通常1カ月10%開脚率をあげる目標を設定するわけですが、この選手においては1カ月で最低110度の開脚ができるようになるよう指示をしました。
野球の実戦練習はほとんどできないわけです。
でも、それがチャンス!
この時期を利用して、野球をする上で大切な身体を獲得するチャンスです!
また、柔軟性とともに、足回りの強化。
身体の連動強化をしていただきます!
目の前の試合にこだわるのではなく、今後、どうしたいか?
どうなりたいか?を考えれば・・・
焦っている時間などありません。
リトルリーガーズショルダーでもやることは盛りだくさんです!
このリトルリーガーズショルダーを負のものとするのではなく、今後の野球人生の財産にできるか!?
これはこの選手の考えにかかっています!
また、その考えを良い方向に向けるのは、わたしの務めだとも思っています。
そして、リトルリーガーショルダーの診断から「わずか5日」
当初68°だった開脚は・・・
95°に!
わずか5日で、40%増!
もちろん最初が硬すぎ!!!ということはありますが、この選手が今の自分を理解し、努力した結果です。
この調子でいけば、1カ月後110°ではなく、120°も無理な数字ではなくなってきました。
1ヶ月間、投球、野球の実戦練習はできませんが、1か月後、グランドに復帰したときは、以前とは違う状態の進化した選手、ケガをしにくい選手に導きます。
しかし68°って・・・
こんな状態で野球、スポーツをすると・・・
リスクあり!です。
それでは本日もしっかりとリスク管理をしながら、笑顔で元気にがんばっていきましょう!
以下のブログも時間があれば、覗いてみてくださいませ。
「体幹トレーニング&ストレッチ教室in呉・広島」
http://blogs.yahoo.co.jp/miyasakoproject2016
「宮迫接骨院オフィシャルホームページ」