60.試合前症候群
~心因性疼痛~
昨日は「試合前症候群~無理と無茶~」について記しました。
本日は、その無理と無茶の反対の「試合前症候群」について記します。
反対?
意味がわからないかもしれませんが・・・(笑)
昨日記したのは、ケガ・野球障害があるにもかかわらず、ベンチ入りを目指し「無理・無茶」をするというお話でした。
今日はその逆です。
医学的、解剖学的には「治癒」していると思われる状態なのに・・・
高校3年生が痛い!!!と症状を訴えるケース。
ケガ・野球障害を発症して治療をし、ほぼ緩解していると感じ、こちらが練習再開を促すと・・・
「まだ痛いので練習できません!」
そうした高校3年生が、この時期には散見されます。
では、どうしたら痛いか?
徒手検査、スクリーニングテストを実行しても、当該個所の野球ができないほどの異常は感じられない。
そして、よくよく話を聞いてみると・・・
「もうダメなんですよね」的な回答。
「なにがダメ?」
「もうメンバー入れないんですよ」
そう、幼少期から必死に取り組んだ野球の最終段階(高校野球3年生の夏)で「メンバー陥落」を察知。
もちろん学生は主観で物を考えます。
ただ、高校3年生にもなると「客観視」する力も充分に備わっています。
そして自分の現状を把握して、「諦め」が芽生えてきます。
この「諦め」が芽生えた瞬間に・・・
ケガ・野球障害の「自覚症状」が増幅します。
他覚所見はどんどん減少するのに自覚症状は増幅する。
反比例。
こうしたことは決して珍しいことではありません。
治療をする側は患部にばかり目を奪われていると、その学生の症状を消し去ることができない!ということになります。
当然、「問診」はいつの時も、大事ですが、高校3年生のこの時期、特に高校3年生に進級してから野球児が受診した際の「問診」はことさら重大になります。
問診をする際、患部のことの他に野球歴、ポジションを聞くのはもちろん「今現在の野球部内での自分の状況」を聞き出すことが必要となります。
そのことを踏まえた上で治療計画を立て「話し合い」を行い治療を行わないといけません。
そうしないと、いつまでたっても症状が改善しない!ということがあります。
これには必要であれば、保護者との二者面談、指導者との二者面談ということにもなります。
高校3年生を交えた三者面談をする場合は・・・
「試合前症候群」が疑われたら「二者面談の後」ということになります。
昨日とは逆ではありますが、これも・・・
「試合前症候群」です。
高校3年生に多発しますが、まれに2年生でもあります。
こちらの試合前症候群も昨日と同様なかなか難しい対応になります。
学生の「諦め」に対してどう接するか!?
この学生をどういう方向に導くか!?
これも個々でのケースバイケースになります。
簡単に言えば、挫折による症状悪化。
子供たちの「挫折」に対して、大人がどう接するか!?
叱咤激励!だけではすまないケースもあるので学生の性格にも配慮し、対応していかなければいけません。
そんなことまでしなくてよい!
自力で這い上がれ!!!というご意見もあろうかとは思いますが・・・
高校3年生の心を大きく壊すことなく、接する努力は必要と感じます。
挫折は誰にでもありますが、その挫折をした時に、少しでいいから労わりの「声をかけてやる!」
それを指導者・保護者・治療家がしていければ・・・
また前向きな人生が送れるのではないかと考えます。
部員が多く、監督がすべての選手に目が行き届かないのではあれば、コーチや保護者が「声をかける」
もちろん「過保護」にしろ!なんてことは毛頭言いませんが、少しでも、優しい労わりの言葉をかけてやれば・・・
高校3年生の夏の大会のベンチ入りには悲喜こもごものドラマがあります。
少なからず、傷つく学生もいるでしょうが、これで人生が終わりでないので、ぜひとも這い上がっていただきたいものです!!!
傷ついた学生がいたら、気づいてあげましょう。
そして、労わる声かけ・・・
大人たちの責任でもあると考えます。
あと1ヶ月で夏の高校野球予選が開幕。
「2つの試合前症候群」も多発しないことを祈りつつ・・・
高校野球児の健やかなる成長を願うことを止まない「素人野球狂・宮迫」でした。
それでは本日も子供たちに負けない笑顔でがんばっていきしましょう!!!
以下、「宮迫接骨院オフィシャルホームページ」もよろしくお願いいたします。