右手関節捻挫

この症例は「Smith骨折」の発生機転で運が良く「骨折」に至らなかった症例です。

左手関節捻挫

<患者さん>小学2年生女子

<原因>遊んでいるとき、誤って手関節を屈曲(掌屈)して、手背を衝き転倒の際に橈骨遠位端部に強い背側凸の屈曲力が働き発生。

<症状>撓骨遠位端部、骨間部に限局性圧痛あり。腫脹は中等度。

手関節の関節自動運動で疼痛増強。疼痛のため困難。

<処置>Smith骨折の整復法で牽引。手関節捻挫でも骨折の整復法を施行することで著効。

前腕部のシーネ固定、提肘。

手関節捻挫でシーネ?提肘?と思われるかもしれませんが、患部の完全安静を数日間することで、治癒期間が大幅に短くなります。

少しの日常生活不具合を強いられますが、可能であれば、腫脹がひく期間の「完全安静術」をとることをお勧めします。

また、今回は運よく骨折は免れましたが、もう少し強い力が働いていたら・・・

Smith骨折(橈骨遠位端部屈曲型骨折 別名 逆Colles 骨折)になっていたと思われます。

この症例の完全治癒期間は10日~2週間程度となります。

ケガをしたら、まずは接骨院に行きましょう!!!

ここからは少し専門的になり、また長文ですので、あしからず・・・(笑)

Smith骨折とは・・・

<発生機転>

Colles 骨折に比較してまれな骨折で、多くは手関節を屈曲(掌屈)して、手背を衝き転倒の際に橈骨遠位端部に強い背側凸の屈曲力が働き発生する。

<症状>

1)骨折線の走行・・・手関節の1~3cm 上の背側から、やや斜めに掌側上方へ走る。

2)遠位骨片の転位・・・掌側転位、橈側転位、短縮転位、捻転転位を呈する。

3)変形・・・近位骨折端が背側に位置するため尺骨遠位端が背側凸を呈する。遠位骨片の掌側転位のため骨折部の厚さと幅が著しく増大し、掌側転位が強度になり近位骨片に騎乗かつ短縮すると鋤型変形を呈する。

4)腫脹

5)疼痛

6)機能障害・・・前腕の回外運動や、手で物を握る、とくに拇指と示指で摘むなどの動作や、手関節の運動制限などの障害が出現する。

<整復法>

牽引直圧整復法

転位軽度の骨折に応用する。坐位または背臥位の患者の肘関節を90度屈曲して、助手に骨折部中枢を把握固定させる。  術者は両手の拇指を掌側に、両四指を背側に当てがい、手根部とともに遠位骨片を把握して、回外位に末梢牽引を行って捻転転位、橈尺面の側方転位、短縮転位のそれぞれを取り除く、そのまま末梢牽引の手を緩めずに、両第2指で近位骨片の背側に当てがい、同時に両拇指で掌側から背側に向けて遠位骨片を直圧して整復する。  両拇指で遠位骨片に圧迫を加えるときは橈骨動脈の損傷に注意する。

<固定法>

肢位・・・肘関節90度屈曲位、前腕回外位、手関節軽度伸展(背屈)位、軽度尺屈位

方法・・・厚紙副子、金属副子などを用いて、肘関節を含みMP関節の手前まで、MP関節の屈伸運動可能な範囲で4~5週間の固定包帯を施行する。

<後療法>

1週間は再転位に留意し、約2週間すぎより徐々に良肢位に近づける。指の運動は拘縮予防のため翌日より開始させ循環の改善を図る。

4~5週間で骨性癒合を認めたら固定を除去し、徐々に自動運動を行わせる。

高齢者の場合には、肩、肘関節に拘縮が生じることが多いので、患者自身に積極的に運動を行うように指導する。治癒までに6~12週間。

それでは今日もケガに気をつけて、笑顔でがんばりましょう♪

以下、「宮迫接骨院オフィシャルホームページ」もよろしくお願いいたします。   http://www.miyasako.net/

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